日本のGDPが伸びない中、各国のGDPは伸びています(右のグラフ)。
各国に日本がどんどん追い抜かれていく最大の原因は、一人あたりのGDPが、日本では向上していないことです。人口増加率とか、労働人口の増加率などの差ではありません。
生産性が向上しない原因
生産性の向上が止まったのは、インターネットが日本の家庭で一般的に利用され始めるのが1995 年あたりからです。
この時期生産性が向上しなかった原因は、「日本が情報通信技術(ICT)革命に乗り遅れたこと」だと、独立行政法人経済産業研究所がレポートしています。
乗り遅れて逃したしまったICT革命の後は、第4次産業革命が進行中ですが、第4次産業革命にも日本は乗り遅れ、相変わらず生産性が向上していません。
落ちこぼれ
生産性が向上していない現状は、経済成長の停滞・成長の鈍化だと言うことができますが、各国と比較すると、日本が落ちこぼれになりつつある状況です。
テストの点数は毎年変わらないものの、偏差値がどんどん落ちているような状況です。
エコシステムの欠落
日本にも先進生産システムを持ち、世界をリードしている事業規模の大きなトップ企業がありますが、そのノウハウは、その企業の中に「閉じている」のが特徴です。
エコシステムが形成されていないので、閉じたノウハウを持っている企業以外は、ノウハウが利用できず取り残されています。
オープンなエコシステムが無い日本の中堅中小企業は、単独でノウハウを獲得することも困難なであるため、取り残され脱落しかねない状況にあります。
国内の中堅中小企業が脱落しても、品質とコストが見合あう海外の中堅中小企業以外から調達する選択肢が、トップ企業にはあります。
日本の製造業全体のためには、ノウハウを、中堅中小企業と共有するエコシステムがあったほうが良いけれど、無くてもトップ企業は困らない現状です。
現場主義の限界
第4次産業革命では、職人技、現場主体の品質管理といった現場の暗黙知は、データ化して吸い上げセンターに集約されて利用されます。
これにより、暗黙知を持つ現場の頭脳(プロ)なして、生産システムも増やすことや、変革することが可能になります。
現場のプロを、年月をかけて育成するやり方では、規模と変化に対応するスピードにおいて、対抗できません。
加えて、現場への頭脳(人間)配置は、コスト面で不利になってしまいます。
データ集約されるセンター・本社レベルに頭脳(人間)を集約するシステムに比べると、各現場に頭脳を配置するシステムは、より多く頭脳(人間)を必要とする分だけコスト的に不利です。、
これは、日本の競争力の源泉でもある現場主義が、規模と変化に対応するスピードでも、コストでも競争力を喪失することを意味増します。
対応策
第4次産業革命を起動するための取り組みが日本でもあります。
多くは、第4次産業革命のキーとなる要素の1つであるIoTに注目した取り組みです。
- 総務省のIoT委員会
- 経産省のロボット革命イニシャティブ協議会配下の「IoTによる製造ビジネス変革ワーキンググループ」
- 経産省の産業構造審議会配下の新産業構造部会で「第4次産業革命への対応の方向性」検討
- IoTコンソーシアム
- インターネット・バリューチェーン・イニシャティブ(IVI)
対策は間に合うか
これらの取り組みは、来るべき第4次産業革命にどう取り組むかというトーンです。
現実には、すでに第4次産業革命は進行中で、最後の列車に乗り遅るラストチャンスが残っているかどうかとう状況です。
第4次産業革命に必要な要素技術は、すでに多くの企業が利用が利用を始めつつあります。
例えば、IoT向けクラウドサービス(Amazon AWSのIoT、MSのAzure IoT Suite)、IoTデバイス(Arduino, Intel Edison、RaspberryPi), DeepLearning( TensorFlow, Chainer, Caffe, DeepDream)、LPWN(NB-IoT, Cat-M1, LoRa, SigFox)、Bigdata(Hadoop, MongoDB, Talend,IBM BigInsights )などの利用が始まっています。
日本の低生産性を解決するためには、このようなよそ技術を利用してイノベーションを起こしていくことが、必要です。今から検討して準備するのでは、半周遅れの感があります。