母語の重要性

人間の脳には、4歳くらいまでに母語の文法やロジックによる思考回路が形成されるのだそうです。

その後は、母語力の向上に応じて、この思考回路が磨かれていくのですが、その途中で母語に触れる機会を失うと、思考回路が磨かれなくなり、様々な悪影響があるそうです。

4歳くらいまでに、母親との会話に使用した言語が母語。
母語=母国の言葉ではなく、第一言語とも違います。

母語とその影響には、以下のような事象があげられています。

  • 多様な言語環境に育ち、母語に触れる機会を低年齢で失うとと、母語が発達せず、思考力に影響が出る
    • 例1:家庭内ではタイ語の子供が小学校に通うようになって、日本語中心になり、タイ語を使う機会を失う
    • 例2:母語日本語の子供が小学校からアメリカに移住して、日本語を使う機械を失う
  • 母語の喪失は、認知面での発達を中断させるなど様々な面で不利な影響をもたらす
  • 十分に母語を学習し、母語力を発達させることにより、思考力がしっかり形成される
  • 母語の学習機会を持つことは、子どもの自尊心や、情緒的な安定、アイデンティティの確立を助ける
  • 母語以外の言語(学習言語)が上達し、ネイティブのように会話できるようになっても、成長期の母語力不足による影響は排除できない
  • 成年後に、母語の使用機会を失くして母語の会話力が低下しても、母語によって形成された思考力は影響を受けない

母語は、人間の成長にとても重要な役割があることも認識させられました。